気品ある佇まい、優雅で美しい花びら、見てるだけでエレガントな気分になる薔薇は、一輪だけでも絵になるので、デッサンの練習のモチーフとしておすすめの花です。

しかし、薔薇は花びらが多く、幾重にも重なり合っているので、最初は細かい部分の描写が難しく感じるかもしれません。

そこで今回は、薔薇のデッサンを初心者の方にも上手く描く方法を実践しながら、ご紹介していきますので、ぜひこの機会に薔薇のデッサンに挑戦してみてくださいね。

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薔薇(バラ)のデッサンの描き方をご紹介

薔薇のデッサンモチーフ

まず薔薇のデッサン用に、描きたい薔薇を花屋さんなどから購入してきます。

ギリシャ神話では、薔薇はヴィーナスが誕生したのと同じ時期に生まれた花とされていて、愛と美、喜びの象徴として、結婚式で花嫁が薔薇のブーケを持つ風習ができたそうですよ。

生花は1〜2日で花びらが開いてきて、気温が高い夏などは、3日ほどでしんなりしてしまいますので、描く直前に入手しておくことをおすすめします。

私が購入した近所のお花屋さんでは1本500円くらいでした。しおれないうちに早く描かないと…!

使用した画材
  • サンフラワーM画用紙
  • 三菱鉛筆 ハイユニ・・・3B、2B、HB、H、2H
  • 三菱鉛筆 ユニ・・・2B
  • ステッドラー ルモグラフ・・・3H、2H
  • ねりけし
  • 擦筆(さっぴつ)
  • ティッシュ
  • ホルダー型消しゴム(MONO)
  • デスケル
  • カッター(鉛筆削り用)
  • カルトン
  • クリップ
  • クロッキー帳

デッサンの前に観察してみよう!薔薇の形の特徴をつかむ

薔薇上から見た

デッサンを始める前に、薔薇の形の特徴をおさえてクロッキーをしておくと、きれいな曲線を描いたり、形が捉えやすくなります。

薔薇横から見た

薔薇の特徴は、花びらが多くて、内側になるにしたがって花びらが凝縮していきます。

赤いバラ

花びらが開いてきたときの形が複雑で難しく見えますが、大きな一つのかたまりを意識することで、バランスの良い形を描くことができます。

バラの花のお椀のイメージ

最初のうちは、お椀のような形状をイメージして、お椀に沿うように花びらがついているイメージで描き始めるといいかと思います。

薔薇の花の形状や特徴をクロッキーする

薔薇の花クロッキー

デッサンを描き始める前に、簡単にクロッキーをしておくと、薔薇の特徴や形をつかみやすくなります。

薔薇の花を真上や横、斜め、下から、色々な角度から観察してクロッキーしておくと、薔薇の形が脳にインプットされるので、描き始めて形が上手く取れず迷ってしまうことがなくなります。

こちらはデッサンの描き方の動画版になります。よかったら描き方の参考にしてみてください!

はかり棒やデスケルなども使って、構図を決める

クロッキーがある程度できたら、今度は、画用紙にどのような構図で薔薇を配置するか、エスキース(スケッチ、下絵)を描きます。

花瓶に対して、薔薇の花や葉っぱが、どのくらいの大きさの比率になっているのか、構図を決める時点で、はかり棒や、デスケルをつかって、花瓶と花はどのくらいの比率になっているのか確認しておきます。

また画用紙のどの位置に配置するのか何パターンか構図を描いてみると実際の完成のイメージが湧きやすくなります。

構図を決める

いよいよ画用紙に薔薇をデッサン!アタリをとって配置を決める

構図が決まったらアタリ(おおよそのモチーフの配置)をとっていきます。

花の位置や花瓶の位置を一発で決めて、そこから描き始めていくことは難しいので、ぼんやりとこの辺り、という目印のようなアタリの線を入れておきます。

最初のうちは、デスケルの線に合わせて、画用紙にも薄く同じ比率で線を入れて、その線を目安に描いていくとバランスが取れた構図で描き進めることができますよ!

薔薇の花の部分を上手くデッサンするには?

薔薇のデッサンに影をつける

薔薇の花の部分を上手く描くには、花びらの形を最初から描くより、花全体を一つのかたまりとして、フォルム(形状)を捉えながら描いていくと、バランス良く描けます。

それには、まず光が当たっている部分や影に注目して描きます。

だいたいバランスよく配置できたかなと思ったら、影や全体のフォルムを描くところから、描き込みをしていきます。

固有色を意識して、影や色の濃い部分に濃いめの鉛筆で黒を塗る

影の部分や、赤い薔薇、茎や葉など濃い固有色の部分は、2Bや3Bの濃く、やわらかめの鉛筆を横に寝かせてストロークして描いていきます。

表面のザラつきが気になる場合は、ティッシュやガーゼを使用してぼかすとトーンに深みがでます。また、細かい部分は、擦筆(さっぴつ)を使ってぼかしていきます。

花びらの形よりも全体の形を捉えることでバランスとれた形になる

花の部分を描いていきます。

最初から花びらを一枚一枚描いていきたくなってしまいますが、花の部分全体を意識して、影になっている部分を追って描きます。

目をぼんやりと細めてみると、ぼやけて花全体のどの辺りに影がついてるか見えてきます。そして、花全体のかたまりを意識します。

薄い色の薔薇は硬めの鉛筆で描き、黒くなりすぎに注意する

白っぽいモチーフを描くときは、2Hや、3Hの硬い鉛筆を使用して、影の部分を薄く描いてメリハリをつけていきます。

3Hくらいの鉛筆であまり力を込めずに、薄い色の薔薇を描いていきます。

細部はあとから描き込んでいくため、全体のバランスが取れるまで白黒の写真をイメージして、影の付き方、画面の構図、配置を確認して描いていきます。

光が当たっている部分は、ねりけしなどを使って、叩くようにすると自然な光を描くことができます。

花びらや尖った部分など、エッジを効かせて形を出したい箇所は、ホルダー型の消しゴムや通常の硬い消しゴムで画用紙の白を際立たせるとシャープな形を描き出すことができます。

薔薇の花のデッサンの描き込み方

全体の形が取れたら、いよいよ描き込みをしていきます。

全体の色味や形のバランスが取れたら、花から描き込んでいく

薔薇の花や葉は、時間が経つにつれて花が開いてきてしおれてきてしまいますので、バラの花と葉っぱを先に描いていきます。

花瓶や茎など、時間が経っても形状が変わらずに描けそうなところは、後回しで大丈夫です。

花びらの重なっている部分、影の部分を描く

薔薇の花びらの描き込み

薔薇の花を上手く描くコツは、

花びらひとつひとつの形は追わない

ことが大切です。

なぜかというと、一つひとつの花びらの形を追って描いていくうちに、花全体の形が崩れてバランスが悪くなってしまうためです。

ですので、花びらと花びらの重なっている部分、影の部分を追って描いて行きましょう。

そうすることで、花全体のどこらへんに影があるか、どこら辺で花びらが重なっているか常に確認しながら描いていくので、全体的にバランスよく花を描いていくことができます。

おすすめの花弁の描き方は、茎と花弁の繋がっている部分から、徐々に上に向かって花びらの重なりを追っていくと、

  • 花が小さくなってしまった
  • なんか花びらの形がおかしい
  • 中心がズレてしまった

ということになってしまうことがなくなります。

濃い色の薔薇は4B〜2B、薄い色の薔薇は2H、3Hくらいの硬さの鉛筆で描いていく。

鉛筆デッサンでは、固有色と、影の部分との描き分けが難しいですよね。

最初のうちは、影や固有色は

濃い色のモチーフ→4B〜2Bの濃い鉛筆を塗り重ねながら描く

白っぽい色のモチーフ→4H〜2Hの硬い鉛筆でやさしく薄く描いていく

ことを意識して描いていくと、完成したときに同じ色のモチーフに見えてしまうということがなくなります。

ねりけしやホルダー型消しゴムで光が当たっているを描いていくイメージで明暗をつけます。だいぶ花の部分が出来上がってきました。

全体の描き込みをして完成

最後に花の細かい部分を描いて完成です!

細かい部分は、2B、3Bなどの濃い鉛筆はエッジをきかせにくいので、HBやH、2Hなどの硬めの鉛筆で先を尖らせて描き込んで描いていきます。

思い通りの濃淡、質感が出るまで描いて、完成させていきましょう。

同様に、葉や茎の部分、花瓶を描き込んでいけば完成です。

薔薇のデッサン完成
薔薇のデッサン完成(minart作)
制作時間:6時間くらい

まとめ

今回は薔薇の描き方についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

一度薔薇の花の特徴がつかめると、人物と組み合わせてもいいですし、着彩して描くこともでき、色々応用することができます。

薔薇は描いていて楽しいモチーフですので、この機会にぜひ薔薇の花を沢山デッサンで描いて上達していってください!